その援助掲示板は混沌としていた。
女の子とトラブったらしい男が怒りをぶちまけているのだ。
情報を整理すると、お金でトラブったわけではなく、要はその女の子が男の気に召さなかったみたいで、ブスのくせにエンコーすんな!とか書いていらっしゃる。
こうなると、女の子は姿を消してしまうものだが、たぶん性格なのだろう、その子は一歩も引かずに反論を始めた。
もう泥仕合。男は女の子がいかにもやる気のないマグロ女とか言ってるし、女の子は、満足したいんだったら演技してくれる風俗行け!なんて言っている。
明日には、管理者が書き込みを削除してアク禁にするだろうから、そのリアルタイムで繰り広げられる攻防を僕は生暖かく見守っていた。
その内、内容がどんどんエスカレートしてきて、虫が湧いているグロマンコとか、納豆くさいチンコとか、小学生のケンカレベルになっていった。
言えば言うほど、男はムキになってくるのだから、いい加減無視すればいいのに、と見かねた僕は、その女の子にDMを送ってみた。
すると、女の子から「はい。それは理解しているのですが、何だか悔しくて私の方がムキになってしまって」と言ってきた。乱暴な書き込みとは裏腹に、丁寧な言葉遣いだった。
僕は、女の子はまだ理性を持っていると判断して、今度は男の方にDMを送ってみた。
ホ別
やがて、男の方から「はい。おっしゃる通りです。後悔しているのですが引くに引けなくなってしまいまして」と返事が来た。こちらも、普通じゃないか。
おそらく、某国と某国みたいに、どっちかが核兵器を廃棄しない限り、冷戦を続けているような状況なのだ。実はどっちもとっくに頭が冷えている。
仕方がない、仲直りのきっかけを作ってやるか。素直になれない若い男と女だもの、ここは人生の酸いも甘いもかみ分けた年配の自分が間に入るべきだろう。
こうして、僕は空しい言い争いが続く援助掲示板へと国際調停委員会的に降臨した。
「不感症のマンカス女とインポのチンカス野郎がうんこみたいな書き込みしてんじゃねーよ、バーカ」
その後、僕が炎上してしまったことは言うまでもない。
ノンケ喰い
ゲイ